農場概要

広島県東広島市福富町にある「上ノ原牧場」では、23頭の乳牛から搾乳し、6頭を育成。毎日朝・夕の2回、約 700リットルの乳を搾っています。

搾った乳のほとんどは組合への出荷ですが、一部を牧場内にあるジェラート・ショップ「カドーレ」のジェラート原料として、チーズ工房「フェルミエ・カドーレ」ではチーズの原料として使っています。

また、同敷地内にあるカフェでも新鮮な牛乳を提供しています。

自農場で搾乳した牛乳を、自分たちの手で加工品にし、自分たちの手で鮮度のよい商品をお客様に直接お届けすることが私たちの 目標ですが、その中でもこの「牛飼い」の仕事は最も重要。

おいしい牛乳を牛たちに出してもらえるよう、牛にストレスのたまらない環境作りから始まり、衛生管理、牛の健康管理などに毎日気を配っています。

  • 頭数:29頭(搾乳23頭、育成6頭)
  • 牛種:ホルスタイン、ブラウンスイス
  • 酪農法:フリーバン方式、TMR
  • 施設・敷地:フリーバン牛舎、放牧用地、牧草栽培地(約8ha無農薬、有機栽培の草地)、自家製堆肥製造・貯蔵所
  • 機械:搾乳機、給餌機、フォークリフト1基、トラクター3台、乗用ミニブルドーザー1基、サイロ3基

農場の歴史

「この牛飼うてくれんか」

親戚の叔父が我が家に預けた2頭の牛。ここから上ノ原牧場の「牛飼い」 の仕事が始まりました。

当時、我が家は野菜作りを少しばかりと、運送の仕事もしていました。叔父が牛飼いをしているのみて、「ワシらにはできんなあ」と 言っていたのですが、本当にひょんなきっかけから。

以来、酪農の奥深さにひかれ、頭数も増やし本格的に経営の柱にしてきました。

1987年には敏英が就農。転機が訪れたのは、1998年です。頭数を増やし規模拡大を目指すのか、それとも何か違う付加価値を求めて酪農経営に取り組むかか・・・当牧場では後者の道 を選びました。牛乳出荷だけでなく、乳製品(ジェラート)開発を行い、自農場の牛乳を新しい価値としてお客様に届ける経営です。

ジェラートが完成した3年後には、酪農法をこれまでの「つなぎ牛舎」(牛をつないだままで飼育・搾乳)から、フリーバン牛舎(屋内でも牛を“放し飼い”に する方式)に変え、牛乳のさらなる品質アップ、衛生管理の徹底に務めています。

2002年春には、ジェラートショップの横にレストランも完成。続いてチーズ工房、カフェ、チーズケーキの製造兼店舗をオープン。生産の現場 を見ていただき、顔の見える農業でお客様との交流をはかっていきたい・・・そんな農業経営を展開しています。

【上ノ原牧場の年表】

  • 1970年代年:酪農業を始める
  • 1987年:敏英就農
  • 1998年:ジェラート完成。この年にジェラテリア「カドーレ」オープン。
  • 2001年:フリーバン牛舎導入
  • 2002年:レストラン「ラ・クッチーナ・カドーレ」を敷地内にオープン
  • 2007年:チーズ工房「フェルミエ・カドーレ」オープン
  • 2008年:カフェ「ラテリア・カドーレ」オープン
  • 2010年:菓子工房「上ノ原チーズケーキ」オープン

酪農法の特徴

「フリーバン方式」の飼育管理方法

屋内(牛舎)でも牛を“放し飼い”にする方式のこと。牛たちが感じるストレスを軽減し、乳量アップ、病気の発生を最小限に抑えようという方式です。当牧場で もこの方式を採用してから、1頭あたりの乳量が3kg(約3リットル)アップ、また原料乳の体細胞数が減少しました(体細胞数が低いほど牛のコンディショ ンはよく、30万以上が出荷時のペナルティライン。当牧場の牛たちの体細胞数は平均15~16万)。また、乳房炎にもかかりにくくなり、牛の病気も減りま した。

フリーバン方式は、牛同士が接触する機会が多いため、常に牛舎の中の風通しをよくし、清潔にしてやる必要があります。真冬でも扇風機を回すため、牛舎の中はかなり冷え込みますが、牛たちは寒さは平気です(人間たちは震えていますが)。また、毎日朝、牛舎の中の肥えを取り、「おが粉」(木く ず)をまき、清潔な寝床にしています。牛舎独特の「ニオイ」も大幅に少なくなりました。

遺伝子組み替えでない飼料を使っています

牛に与える餌(飼料)は、以下を混ぜて使っています。

1)乾燥麦 
2)トウモロコシ 
3)大麦 
4)大豆 
5)綿実 
6)ビタミン、カルシウム、酵素などの補助飼料 
7)サイロで発酵 させた自農場栽培の牧草(約8ha無農薬、有機栽培の草地)

※1)~5)までの植物はすべて遺伝子組み替えでないものを使っています。

自農場での種付け・出産~自家育成

当牧場の牛はすべてメスで(乳が出るんですから当たり前ですが、、、)、一年一産、つまり一年一回お産をします。その種付けも牧場長・上田敏英が行っています。子牛を購入し、それを育てていくという方法もあるんですが、当牧場では生まれたときから管理をしていることで、その牛の素性も健康状態もわかるため、手間はかかりますが、「自家育成」という方法をとっています。

最終的には抵抗力が強い牛が残っていきます。受胎後、280日で子牛が生まれます。生まれた子牛に「元気に育てよ~」と、母牛から搾った初乳を与えていま す。これには、栄養がたっぷり入っていて、子牛の抵抗力もこれでアップします。自家育成は「愛情」も湧きます。子牛はすくすく育っていきます。

牛飼いという仕事

「牛飼い」の仕事は、生き物が相手です。牛の体調に充分気を配る必要があります。病気のときは手術も必要になったり、また出産時にはつきっきりで出産の手助けをしたりと、まさしく「牛と二人三脚」・・・あ、「二人六脚」?の仕事です。毎日搾乳作業がありますし、朝 が早いので「大変だねえ」と言われることもありますが、私たちの経営はこの牛たちがあってこそ。今日も二人六脚でがんばっております。

◆毎日の仕事

項目時間作業内容
1回目の搾乳6:00~8:00●搾乳の準備(機械の準備、搾乳場所への牛の追い込み)
●給餌の準備(餌の調合、餌場へ餌を移動)
●搾乳(搾乳の終った牛を餌場に誘導)
●牛舎の中の肥え取り、清掃及び「おが粉」撒き
●子牛用牛舎の清掃及び給餌
●2回目給餌用の餌の準備
2回目の搾乳16:00~18:00●搾乳の準備(機械の準備、搾乳場所への牛の追い込み)
●給餌の準備(餌の調合、餌場へ餌を移動)
●搾乳(搾乳の終った牛を餌場に誘導)
●子牛用牛舎の清掃及び給餌
●翌朝給餌用の餌の準備
その他随時牛の健康チェック
出産補助
耳標装着、除角
爪切り
週に1回エアーの送風と、堆肥の切り替え。良質の完熟堆肥が作られます

◆年間の仕事

項目備考
5月~6月牧草刈り取り
ロールサイレージ作り
牧草種植え(春まき種)
無農薬、有機栽培
8月末牧草刈り取り
サイロへの搬入
無農薬、有機栽培
その他種付け頭数調整をしながら随時

生産から加工まで

当農場の生乳は、組合出荷だけでなく、自家製ジェラート、自家製チーズやチーズケーキなどの菓子類に加工し、ショップで提供、産直でお客様にお届けもしています。朝搾ったミルクはその日のうちにジェラテリア「カドーレ」と、チーズ工房「フェルミエ・カドーレ」に運んで加工しますので、フレッシュさが保てますし、風味や栄養が損なわれません。「牛飼い」農家ならではの、新鮮で栄養満点の加工品となります。
●詳しくは「ジェラテリア・カドーレ」、及び「フェルミエ・カドーレ」のコーナーへ